県立入試が今春から50分に延長。問題文は今までの1.5倍の枚数に。
今までの入試から出題傾向の大きく変わった教科も。


大問数および全体の問いの数は、例年とほぼ同じ。構成に変化があり、漢字(語句)・文法系が独立して出題されたのに対し、作文が長文問題の中に組みこまれ、配点もやや小さくなった。
 出題の特色は、記号で答える問いが激減(2問のみ)し、記述式の「書いて答える問題」の割合が大きくなった。また、複数の文章や資料(図鑑)などを照らし合わせて、複合的に読解するという形式であった。従来の読解力に加え、思考力、表現力が求められる。
サナギの羽化について書かれた説明文と、図鑑の一部を複合的にとらえる問題。1、4の語句を抜き出して答える問いは、しっかり得点しておきたいところ。5の記述は60〜80字と長い字数指定だが、実験の手順を説明する問題なので比較的書きやすい。文章からキーワードを抜き出して、ていねいにつなぎあわせていくことが大切。
【A】の論説文と【B】の古文まじりの随筆と【望さんのノート】の三つの文章を照合していく構成。このタイプの問題は、全国的に増えている傾向にある。
問われていることは単純だが、複数の文章で該当する部分を対照させながら読む必要がある。また、ここに作文が組みこまれ、従来の20点の配点から16点に縮小された。テーマは「本の選び方」で、自由に体験や意見を述べる課題作文ではなく、示された二つの意見のどちらかを選び(立場を明確にする)、その意見にはどのような利点があるのか(選んだ根拠を述べる)を書く、小論文に近い条件作文である。求められているものがはっきりしているので、与えられた条件を守ることが最重要。「何を書かなければならないか」を整理してから臨む必要がある。
漢字、文法が独立した問題となった。漢字の読み書きはやや難しくなったが、教科書レベルなので得点源にしたい。語句の意味を問う問題と敬語の問題も「国語辞典で調べた」という問い方が変わっているだけで、非常に簡単。また、「敬語の誤りを正す」問いは、「一文節で」抜き出す文法の力も同時に求められた。この大問だけで28点の配点があるので、国語のベースとなる漢字・語句・文法の分野も「浅く広く」学習しておきたい。



試験時間が10分拡大されたことにより、これまで大問3問の構成が大問4問の構成へと変更となった。大問2〜大問4では、言葉による説明や証明といった記述問題が1問ずつ出題された。
大問ごとに注目してみると、大問1は、問題数と配点が減少。基本的な知識や計算力の確認と合わせて初めて「資料」の問題が出題された。大問2では、反比例を使った文章問題。大問3は、正方形を回転移動させてできる図形の問題。大問4は、関数と確率の総合問題であった。
正負の数の計算、単項式や多項式の計算、平方根の計算、2次方程式の解の値、立体、資料と合計8問の出題。教科書レベルでの出題であった。
自転車のギアを題材にした反比例の問題。長い説明から、必要な情報を抽出し、正しくイメージできるかどうかがカギとなった。
図形の総合問題。作図や証明も出題された。問題ごとに図が示されていた為、イメージのしやすい問題であった。回転移動の問題であった為、どの頂点を中心として回転していったのかを判断する必要があった。
関数と確率の総合問題。2人の人物がさいころを振り、その出た目によって座標が決まり、勝ち、負け、引き分けが決まるゲームが題材であった。さいころは1つずつしか振らない為、全36通りを検証すれば、難なく答えられる問題であった。



第1問がリスニング、第2問・第3問が対話文と長文の読解、リスニングが33/100点という構成は従来通り。自分の立場で英作させる問題が出題されたこと、中三で学習する文法内容を問う問題が出題されたことから、全体としてやや難化。
リスニング。例年に比べて小問が1つ増えた構成。例年、短い対話文2つだった〈その2〉が、〈その2〉と〈その3〉に分割されており、1つが会話文の最後にあてはまる応答を選ぶ問題、1つが会話文(職場体験学習を終えた生徒へのインタビュー)についての質問に対する答えを選ぶ問題であった。
英語の授業で、生徒が自分の持ち物を見せながら行ったスピーチ文。小問で、クラスメイトがスピーチについて質問したり、話し合ったり、感想を書いたりする設定。本文の分量は多くないが、問題を読み取る力が問われた。並べ替えに中3の学習内容である関係代名詞(目的格)が出題された。小問7が、自分自身がスピーチをする際の発表メモを書かせる条件英作。
アメリカに留学している日本人が、ホームステイ先の家族と、シンガポールからの留学生の送別会について話している会話文と、その送別会の案内状。適語補充・並べ替え・英問英答、内容理解。並べ替えに中3の学習内容である不定詞の構文が出題された。小問6が、自分なら送別会にどのような食べ物を準備するか書かせる条件英作。本文の内容を踏まえて書く必要があった。



試験時間が40分から50分に変わったが、問題の構成と問題数に大きな変更はなかった。注目点は「説明しなさい」という単文記述式の問題が増加したこと。先生と太郎、花子の会話にそって出題されている点はユニーク。
化学分野
ガスバーナー、試験管、集気びんなどの実験器具を示して実験上の注意事項や手順を問う問題。4種類の白色の粉末を実験によって見分ける方法も聞かれている。
生物分野
ミミズ、ダンゴムシなどの小動物にかんする問題。ここでも「小動物の種類を1つ選んで書きなさい。また、そう考えた理由を書きなさい」と指示されている。ヨウ素液を用いて分解者のはたらきについて確かめる実験も出題されている。
わかっているだけでなく、それを文章で説明できるかどうか。
地学分野
百人一首に登場する「有明の月」をもとにした問題で、月の形の変化と理由を説明させている。天体の中で、月だけを出題している。
物理分野
電流と磁界からの出題。抵抗の大きさを計算させる問題もあるが、グラフを示して「どのような関係であるとわかりますか。書きなさい」という問題もある。比例していることを読み取ればよいから特に複雑ではないが、ここでも自分で文章を書ききる力が必要。



問題構成が大幅に変わった社会。大問3問でそれぞれ地理(33点)・歴史(38点)・公民(29点)は配転も含めて変化はない。一方、大きく変わったのは小問数。例年30数問の出題だったのが大幅減の21問へ。特に記号・語句問題が昨年度と比べて21問→8問と大幅に減少した。記述問題は11問→13問とやや増加。結果として大幅に記述力を重視した内容になった。もう1つの変更点は「複合的」な問題の増加。複数の文章や資料を見て答えを導き出す出題はこれまでも見られたが、大幅に増加した。今後の傾向として、記述力や思考力重視は続くと予想される。ただし、知識があれば得点できる古典的問題が69点分あり、地道な学習が大切。
北海道と東南アジアを題材に広い知識が問われる。ポイントはやはり記述力と複合的な資料を読み取る力、思考力。一例としては、小問6の北海道の稲作がどのようにして自然環境を克服してさかんになったかを記述させる問題。これを右の資料から読み取って表現する必要がある。ただし、資料を見ずとも北海道の開拓史や寒冷地での稲作について、古典的な知識があれば正答に至ることは可能。従来型の社会の学習が陳腐化するわけではないことに注意。また、記号・語句問題は非常に平易な問題が多い。
土地や経済、文化が中心で政治史のウエイトは極めて少ない。ここでも複数の文章の資料を見ながら記述する問題が多く見られる。例としては小問3の中世の産業や社会の様子を記述する問題。資料を丁寧にまとめれば得点できるが、100字の字数制限があり必要な事柄をもれなく盛り込む記述力が必要。やはりこの問題も鎌倉・室町の農業や商工業の発達についての基本的な知識があれば、資料を見ずに書くことは可能。また、大問2も記号や語句問題は平易。
もともと複数の資料を見て問題点や理由を記述する問題が見られた公民の問題。記号問題1問以外は全て記述問題であるという点を除けば、前半は特筆すべき問題はない。しかし、小問4、小問5は非常にユニーク。公民分野の問題と定義できるかどうかの限界線付近に位置する問題と言える。以下、全文を掲示する。
今後もこのような出題はあると考えるべきだが、内容は平易なので受験生には落ち着いて対処して欲しい。